後ろから現れたお父さんを確認する。
そっと腕を絡ませると、
「昔―、かすみを幸せにするのは、どんな男なのか想像出来なかったんだ」
お父さんがぽつりと呟いた。
「かすみは不器用だから」
「違うもん..」
「でもあの男と出会って変わっていった。
私はこれでも感謝しているんだが―。
中々はっきりとは言えないな」
そっと扉に触れると、あたしの緊張はピークに達する。
「じゃあかすみ、これからどんなことがあっても―。
幸せになるんだぞ」
「うん...!」
優しいお父さんの言葉に頬を緩めて、そっと扉を開いた――。
目の前で待っているのは、いつだって優しい表情を浮かべる、君だけ―。

