「あ、準備整ったようだな」 お父さんが周りを見て、あたしを見つめた。 「かすみ。 たまにでいいから、実家に帰って来るんだぞ」 「分かってるよ、じゃあ行ってくるね。 お父さん、お母さん」 「えぇ、行ってらっしゃい」 両親に見送られて、あたしと冬真は廊下を歩き出す。 「かすみ―俺、今凄く幸せだよ」 「顔、見れば分かるよ..。 あたしも本当に――幸せ」 どんどん近づく扉に、胸を高鳴らせて――。 「じゃあかすみ、待ってるね」 そして、冬真の腕から離れた。