知ってしまったら。 一生手放せなくなる、かすみの体温。 変わんねぇな...。 このちっさくて細い体も――。 低い声でかすみを呼ぶと、俺を見上げた。 重なった視線。 俺の視線はかすみの瞳を、ただ見つめていた―。 ここで好きだ、と言えば。 先輩から離れるんだろうか。 俺のところに戻ってくれんのか――? でもそうしたら...あの先輩を支える人は、誰もいなくなる―。 馬鹿だなぁ、俺...。 手放さなければ、こんなにも悩む必要なかったのに―。