あたしは紅茶代のお金を唯に渡す。 「場所、どこ?」 「うちの家の近くで、豪邸あるでしょ?」 「え。あの唯の家の傍の?」 「えぇ。そうよ」 「あー...確かに怖そうだ」 あそこから出入りしていた人たち。 黒いスーツだったから、怖かったんだよねぇ。 「ダメよ!かすみ! 逃げ腰じゃあ!」 「...それ、昔も言ってくれたね」 「え?」 唯は忘れちゃってるけど。 あたしは、忘れてなんかない。