先輩は悲しげに顔をゆがめた。 辛く、 苦しい思い出だったんだろう。 先輩、ずっと俯いていたし。 「い、許嫁だろ! 僕と君はっ!!」 ひろさんはあたしを見つめ叫んだ。 きっとあたしと結婚すれば、先輩が苦しむと知っている。 そこまで先輩を苦しめる理由なんて。 ただ1つだ。 この家にいる、先輩のギリの親。 それはひろさんたちの本当の両親。 その人に先輩を苦しめるように言ったのだろう。