あの時、先輩と唯は、同じ家にいたと知った。 まだあたしと先輩は出逢った頃だったし、 そんなの気にも留めなかった。 だけど――。 やっぱり嬉しくはない。 やきもちを妬いて、今日まで先輩と顔を合わせにくかったのだ。 「先輩...、 あたし駆け落ちでも何でもいいですよ」 思っても無かった台詞に、先輩はぎょっとした。 勿論、周りの人も全員。 「唯がしたように..あたし達も逃げましょうよ。 こんな過去、全て放り投げたっていいじゃないですか。 ―嘘の世界で生きなくていいですよ」