「ああ、それ。返さなくていいよ」 ゴウダはそっけなくいって、となりを顎でしゃくった。 「まあ、とりあえず、すわれ」 あたしはすわった。 むろん、素直にいうことをきいて、ではない。 膝がぬけて、ベンチにへたり込んでしまったのだ。 「返さなくていいって、どういうことよ!」 あたしは、抜けた気がもどってくるや、ムカッ腹で問いつめた。 「いますぐ返せって、いったじゃない!」