それは、だまし絵みたいに、ふいに出現した。 ほんの2メートル先、黒いバイクのシート上。 忘れられた手袋のような、片手。 まぎれもなく、ゴウダの手。 10分前。 ナカガワが、いつまで待っても、むかえにこない。 それであたしは、駐輪所まで行ってみる気になった。 用心しいしい進み、駐輪所も無人に見えたのに。