「あんたバカでしょ」 あたしはけなした。 でも胸には、ぬくもりの潮がうちよせていた。 「こんなことして、あんたに何の得があるわけ?」 「おれがこうしたいって、それだけ。得とかは関係ないよ」 「昨日のこと、きかないの?」 「きいたら教えてくれる?」 あたしは、すこし考えた。 「きかないで」 ナカガワは、すこしも考えない。 「わかった」 帰りの道中。