ショウが終わっても取材で忙しいミカさんとはゆっくり話す機会もなく、あたしを気にして来てくれたさやさんから、差し入れのお菓子や食べ物を沢山貰って解散になった。

心地よい疲労感とお土産にウキウキと家につくと、暗くなったリビングに人の姿があった。

まるで動かない姿にびっくりして、お菓子の紙袋を落とすとその音でその人物が振り返った。

おねーちゃんだった。

「明かりもつけないでびっくりしたよ。沢山お菓子を貰ったんだよ? 一緒に食べよう」

振り返ったおねーちゃんは、薄暗がりでもわかるほど顔が引きつっていた。

「……なに言ってんの? 馬鹿にするのもいい加減にしてよ!! 心の中で私のこと笑ってるくせに……モデルとしてショウに出るなんて聞いてなかったから……私、あんなこと……」

朝のおねーちゃんの言葉が蘇る。『玲奈もショウとか見たらいいよ』

だって…あの時のあたしは、こんな未来がわからなかった…

高いお金を出しても見たいというほど、あたしは執着してなかった。むしろ、非売品のグッズが貰えるかもとふらふらしていた。

「違うよ…おねーちゃん。あたしおねーちゃんのことそんな風に考えたりしたことないよ…おねーちゃんは、いつもあたしの自慢なんだよ? 」

「嘘ばっかり…私だけいい学校に行って、両親から可愛がられているから、ヤキモチを焼いているんでしょう? 私だって、お受験に落ちた玲奈のこと恥ずかしくて友達に紹介なんて出来ないんだから! 」

いつも優しいおねーちゃんが、こんなに感情をあらわにして怒っているのは初めて見る。

「おねーちゃん……あたしおねーちゃんのこと好きだよ。出来損ないの妹かもしれないけど、あたし今の学校が好きだし、今の状態も嫌いじゃない。おねーちゃんの学校は、おねーちゃんみたいに頭がよくって何でも出来る人が行くとこだもの…あたしには合わない。家の経済力でいっても、これでいいってわかってる」

何て言ったらいいんだろう。どうしたらおねーちゃんはわかってくれるんだろう。