ごめんねっていつも思ってる。

 話しかけると怒るから、話せないけど。


 玄関の呼び鈴がせわしなく押されて、ピンポンピンポン鳴り響いてくる。なんだか物凄く怒っているみたいな鳴らし方に引きながらも玄関に向かう。

 こんな鳴らし方をするなんて、橘マネージャーに何かあった?

 どちらかと言えば静かに怒りを燃やすタイプの人なので、こんなアクティブなのは怖さしかない。

 一応、ドアスコープから覗いてみると、そこには息を切らせた結輝くんがいた。慌ててカギを開けて出てみると、がしっと腕を掴まれた。


「………来て、今すぐ……」

「えっ…どうしたの」

 怖くて腕を放そうと身じろいだら、傘立てを倒してしまい、ガシャンと大きな音がした。その音で優奈がリビングから顔を覗かせ、慌ててかけて来てくれる。


「やめて!!警察呼ぶわよ!」

「おねーちゃん」

「俺は玲奈ちゃんの仕事の知り合いです。玲奈ちゃん、礼治さんが大変なんだ! すぐに病院まで行こう。……今日、手術なんだ! 俺にも秘密にしてて……俺もさっき教えて貰ったんだ」