「へえ~。モデルなんてしてると言うことが違うわよね」


 一瞬で温度がぐんと下がった。病院だったら、温度管理がされているから汗なんてかかないのに、背中を嫌な汗が流れる。


「そ、そんなことないよ。おねーちゃんだって学校のミス東都になったじゃない。あたしの自慢なんだよ! 」

「……準ミスよ、見にも来なかったくせに」


 言葉に詰まる。ピンクラビッツの仕事を解雇されてからは、もう怒涛のオーディションで予定さえ合えば1日に2つや3つのオーディションを入れていた。たいしたモデルじゃなくても、せめておねーちゃんの恥ではないくらいになりたいのに……それはなかなか難しい。


「ごめんね、おねーちゃん。あたしが見に行っても大丈夫だった? もちろん妹だなんて言わないよ! 遠くから見てるだけにするし、話しかけたりなんてしないから! 」

「……あんたのバカさ加減には、ホント呆れる」


 ぷいと横をむいたおねーちゃんはそのまま病室を出て行ってしまった。


「また怒らせちゃった……」

「優奈も気まずかったんでしょ。悪態ついても、玲奈は優奈の心配しかしないんだもの。本当は仲直りしたいのよ、優奈だって。素直じゃないわね」

「ホントにそう思う? 」