一瞬、目を見開いてすぐさま営業用の笑顔を作った礼治さんがカメラを差し出す。笑っているのに、ちっとも楽しそうではなくて。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
にこやかなやり取りなのに、背筋が凍りそうなほど怖い。
「礼治さんはねぇ~女の子の扱いが上手いですから、自分も安心して任せてますよ」
ほろ酔いの伊部さんは、この場の嫌な緊張感がわからないらしい。
「確かにお上手な方だと伺っています。事務所側としては、まったく使えない物もありますが」
すっと液晶画面を礼治さんに向けて差し出すと、画面を見た礼治さんの眉間にしわが寄る。
「使えるかの判断は出版社に一任してありまからねぇ。そこからそちらの事務所には確認が入るでしょう」
「もちろん、そういった流れは把握しています。ただ使えないものを撮られてもこちらも困るということです。玲奈のイメージ戦略というものもありますのでね」
自分のことなのに、あたしのことはまったく無視するような二人のやり取りに取り残された感じしかしない。



