私達は、桂さんに身体を向けている。

「じゃあ、行って来ますね」
「あぁ…行ってらっしゃい…」

いつもより柔和な顔で桂さんは微笑んでいる。

「私達の事はもう心配しなくて良いんです、だって」
「僕達は逃げの小五郎に仕える鬼なのですから」

にっこり笑って言うと、桂さんはただ笑うだけだった。

「ふふっそうだね、じゃあ心配は無用かな?」
「そうですね、じゃあ…そろそろ行きますね」
「あぁ、行ってらっしゃい、気を付けてね」
「「はい、行って来ます!!」」

と言って、私達は街に下りて行った。

「なぁ…火雨」
「ん?…なんだ、時雨」
「俺達、やっていけんのかなぁ?」

そう言って、時雨は空を仰いだ。

「…それを今更言うのかよ、そんなの言ったら私の方が不安だよ…私は女なんだから」
「ん、そうだったな」
「そうだよ」
「じゃあ、この話はもう終わり!」
「ふふっ…そうだね!」

私達は他愛のない話をしながら、歩き続けた。