鬼の双子と新選組

襟を正して、着直すと隊士達に捕縛を頼む。
古高を見やると、私を睨みつけている。

「っ…裏切る、なんて…最悪や…!!」
「はっ…別に、あんた等を裏切るようなことは何もしてまへんえ?
…あんた等が勝手にそう思ってただけの話や」

隊士共に捕縛されている古高にそう言い捨てた後、負けじと睨み返す。
すると、怯んだのか悔しそうに顔を顰めた。
そのまま、一緒に屯所まで帰る事にした。

「ただいま戻りました」
「その格好で戻って来たのか」
「…面倒だったので」
「一旦、着替えてから報告を頼む」
「分かりました」

久し振りの自室に戻って元の男装の姿になって、大広間へ向かう。
そこには幹部の皆さんと時雨が集まっていた。
あの時と…私の正体を明かした時と一緒の座り方だった。

「密偵ご苦労だったな」
「いえ…報告ですが、枡屋の地下蔵には大量の火薬や鉄砲が
備蓄されていました…予測ではありますが、近々に京の町に火を放ち
何かしらの行動を起こすのではないか…と思われます」

そう報告すると、土方さんは苦虫を噛み潰したような表情を見せる。
最近、こんな表情が多いな…。

「そうか…詳しくは古高の野郎から聞くしかねぇな…」
「その件についてですが、俺も参加させてくれませんか?」
「なっ!?」

古高から聞く、と言うのは簡単には吐かないだろうから拷問するのだろう。
その拷問に自分も参加したいと言うと、全員から目を見開かれた。