鬼の双子と新選組

「あぁ!?女が出しゃばるな!!」
「はぁ…痛い目に遭いたないなら、今すぐここから去った方が
無難どすえ?」

微笑みと京言葉を崩さずにはっきりと伝える。
すると、相手がニヤリと不敵に笑った。

「はっ…その言葉、そっくりそのまま返すぜ?ねぇちゃん」
「ほぅ…後悔しなさんなよ?」
「は?…がっ!?」

鳩尾に力いっぱい右拳を入れると、怒り狂った浪士は3軒先にある
店辺り位まで、吹っ飛んだ。
着物を着なおして、吹っ飛んだ浪士に斬られそうになってた女性に
声をかける。

「大丈夫どすか?」
「え、えぇ…ありがとうございます、助かりました!」
「いえいえ…ほな」

一礼して踵を返した後、再び甘味処を探す事に専念した。
見つけた甘味処さんは枡屋から、6軒先にある所だった。
意外と近くにあったのだが、見つけるのに少し時間がかかった。

なぜか?
…私が行った進行方向と真逆の所にあったのだ。

甘味処に入って、団子を頼む。
ふと外を見ると、木々が生い茂っていて緑一色に近かった。
少し生暖かい風が頬を撫でる。
そんな風を受けながら、粗茶と団子を楽しんだ。

次の日は朝起きてから、ずっと枡屋を見ても特には動きがなかった。
暫くの間、枡屋の動きはなくて、ぼんやりと見つめているだけだった。

そんなある日、いや…元治元年6月5日(1864年7月8日)。
昼過ぎに枡屋にお邪魔していると、枡屋の玄関先でいざこざが始まった。