火雨side

「…終わったか?」
「終わりましたよ」
「じゃあ、入るぞ」

襖を開かれ、監察方の山崎さんに見られる。
目を見開いているのは、私が本当に女だという事が信じられないからだろう。
だが、初めて女物の着物に身を包んだ私を見ると、信じてしまう。

「…本当に、君は女子だったのだな…」
「嘘なんてつきませんよ」
「いや、まぁ…嘘だとは思わなかったが…」

山崎さんの目が泳いでて、私を直視できない様だ。
すると…。

「あ、似合ってますよ、火雨さん」
「おぉ~!本当だ!!似合ってるぜ、火雨!!」

幹部の皆さんまでやって来た。

沖田さんは優しそうな微笑みを浮かべ、藤堂さんは太陽みたいに明るい笑顔を
浮かべている。
土方さんと斎藤さんは、目を見開いて固まっている。
井上さんと山南さんは、仏みたいな優しい笑顔で私を見つめている。
永倉さんは、口をあんぐりと開いて阿呆みたいな顔をしている。

「おぉ~火雨、別嬪になったじゃねぇか、まぁ火雨の場合、元が良いからか」
「…ありがとう、ございます…」

原田さんに関しては性別を打ち明けたあの時から、更に優しく接してくれている。
微笑んで、頭を撫でるのが癖のようだ。

…頭を撫でてくれる手が温かくて、桂さんを思い出す。
でも、何故だろうか…。

胸が温かくなるんだ…。