食材を集めに街に行っても、売ってくれない人々。
もうそんな奴等を見たくなくて、2人で森を彷徨(さまよ)っていた。

……森を何日、歩いただろうか。
もう、色々と分からなくなって、久し振りにその場に座り込んで
上から降って来る雨をぼんやりと見つめていた頃。
赤い唐傘が私達に傾けられた。

私達は残っている気力で唐傘を傾けてくれている、そいつを睨みつける。

「大丈夫だよ、私はこの街の人々みたいに、君達を邪険に扱わないよ」

そう言って、私達に微笑みかけた彼が、今の契約の主…桂小五郎さんだった。
これが、桂さんとの出会いだった。

それから、本当に京の人々みたいに扱う事はなく、優しく接してくれた。
ボロボロだった私達を、優しく包み込んでくれて、
裏切らない温かい人だったから、あの世界に戻れる契約を結んだ。

その時に私達の本性を、全て話した。
驚いていたけれど、不審がらずに受け止めてくれた。
そんな桂さんに忠誠を誓った。
『必ず、命に代えても守り通す』と。

だって、私達は桂さんに仕える鬼なのだから。