…いや、止められなかった。
腹の虫が治まるまでは、自分でも止められなかった。
殺しをしていく内に、段々と黒く染まっていく髪。
そして、神殺しを続けて行って真っ黒になった時に高天原を追放された。

「そんな…不知火が全部、悪い訳ないだろ!?」
「落ち着けって…」
「落ち着いてられっか!!月夜見様の所に行ってくる」

そう言って、月夜見様の元へ行き、私の事を庇ってくれたんだけど
裏切者として、時雨も一緒に追放された。
酷いよね。
でも、姉としては安心してる。
正直言って、あんな世界はつまんなかったし、あまり時雨とも一緒に居れなかったから。

「…俺のせいで、追放されてごめん…」
「いや、気にしないで」
「だけど…」
「本当に気にすんな、これからは一緒に居れるんだ」
「…うん」

だが、いきなり現れた私達を京の人々は良く思われる訳ではなく、怖がられた。
人間が人間を斬ろうとしていたから、止めようとして斬っちまっただけなのに

「斬り合いや!」
「あの双子が一方的に斬りよった!!」
「怖いわぁ…はよ、出て行かへんかなぁ…」
「鬼や…人斬りに飢えている鬼や…」

と、評判がますます悪くなるだけだった。

この下界も、糞だ。
下界が嫌になっていく中で、それでも、生きる為には食べなければならない。