鬼の双子と新選組


月夜見様にそう言われて、納得している自分と納得していない自分が居る。
癪に障ったからといって、掟破りの神殺しをして良い理由ではない。
それは分かってる、分かってるけども…。
大事な…大事な人を傷付けられて、殺されそうになっているのに
見て見ぬ振りをするなんて耐えられない。

「…確かに、掟を破って良い理由にはなるまい…
だが、家族が殺されかけているのに見て見ぬ振りをしろと?」
「確かにそうだが、殺しを犯さなくて良かったのではないか?」
「…それでも、殺されてしまったら?どうしろと言うのですか?」

月夜見様に詰め寄っても意味はないと分かっている。
でも、万が一の時の事を考えると歯止めが効かなくなってしまう。

「それは…」
「どちらにせよ、殺したら済む事になってしまうなら
害を与える方を駆除するまでだ」

そう言い捨て、意識朦朧としている大蛇を抱き上げる。
自分の部屋まで連れて行き、体が良くなるまで介抱する。

久し振りに誰かと居るのが心地良くて、安心する…。
だが、大蛇がこんな危険な目に合う位なら、出て行ってしまった方が良い。
そう思い、何度も何度も神殺しをした。

「不知火様っ!どうか、お辞め下さいっ!!」
「知らぬっ!!」

何度も周りの奴等にも止められた。
でも、止まらなかった。