「姉さんが悪い事ばかりじゃなくて、色々な複雑な事を背負っているの知ってるんだよ?だから、俺にも一緒に背負わせて?1人で全部抱え込まないで頼ってよ…姉さんが自分自身を苦しめているの見たくないよ…それとも俺、頼りない…?姉さんの力になれない?」

そうやって、話す時雨は哀しそうで泣きそうな顔だった。
…時雨を悲しませていたのは、私だったのか。
だからと言って、芹沢さんの本性を伝えて良い理由ではない。

「…ごめん、時雨が頼りない訳ではないよ?でもね、これは時雨が背負うのには重過ぎるんだ…私でも精一杯な位だ…」
「じゃあ、2人で背負おうよ!」
「…ごめんね、それは無理だと思う…2人で同じ状況になれば怪しまれてしまう…」
「…そうだけど、でも俺、絶対同じようにはならないから!」
「…それでも、受け止めきれないよ」
「姉さん…お願い、俺を頼って?」

懇願するように私に言うけど、聞こえない振りをして部屋から出る。
芹沢さんの本性は今は言わない方が良いだろう。
時雨も私みたいに色々と考えてしまうだろうから。
時雨は私と違って、感情が豊かで…今、芹沢さんの本性を言うと殺した事を後悔してしまう。