一瞬、驚いて目を見開いてしまったが、いつも通りにふっと笑って構える。
貴方は、戦って逝くのですね…。
それでこそ武士であり、芹沢さんらしい…。

ー良いでしょう。貴方の心意気をお受け取り致しました…。ー

あぁ…この感じ…懐かしい…。
神が人々の願いを叶える時に言う言葉であり、実行開始されるのである。

「ふんっ!」

斬りかかって来る刀を受け止め、払う。
彼はこの感じをあと何回、繰り返す事が出来るのだろう。
私が斬りかかると受け止め、私を押し返す。
後ろに引くと、芹沢さんは一歩、ダンッと踏み込み私を斬る…。

「甘いっ!!」

斬りかかる刀を刷り上げ、心臓をめがけて刀を突き刺す。

ーさようなら、芹沢さん…。ー

ドスッ…。
体を突き刺した感覚が、手に伝わる。
沢山、人を斬った。
そのはずなのに、初めて人を斬った時みたいに、少しの恐怖と悲しみが私を襲った。
なんでだろう…?

「…ひ、さめ…」
「っ!?」
「…あ、り…がと…う……そ、して…す…まな、かっ…た…」
「っ!…あの世で彼女達が待っていますよ…あと、来世ではお幸せに暮らして下さいね……貴方に幸があります様、願っています…」

芹沢さんから刀を外すと、糸が切れた人形みたいに崩れ落ちる。
その顔には少し幸せそうな笑顔が浮かんでいるのに、涙が伝っていた。