「火雨っ!」
「火雨君っ!」

土方さんと沖田さんが声を上げる。
私はこんな事で死ぬ訳ないのに…。
そう思いつつも、心配してくれてる事に少し嬉しく思っている自分が居る。
桂さんの為にも…うかうかと死んでられないよね。

斬りかかって来る芹沢さんを避け、背後に回る。
芹沢さんが振り向く前に壁まで蹴り飛ばす。

「ぐっ…」

この一撃で、芹沢さんがあまり動けなくなるのは知っていた。
だって、本当は…。
この人は、かつて愛した女性と同じ病に体を蝕まれているんだもん…。

「さぁ…芹沢さん、止めを刺しますよ…?」
「…ふん、そんな簡単にやられる訳にはいかん」
「…かつて愛した人とお梅さんの元には行かなくてよろしいのですか?」

ここで死んでしまえば、彼女等と共に過ごせるのだ。
死んでも1人じゃないのが羨ましい位だ…。

「…お前には分かるまい…大切な奴が逝ってしまう悲しみを…」
「…いいえ、分かりますよ…今まさにその状態になろうとしているのですから」
「…ふん…」

ゆらりと立ち上がり、私に近付く。
殺せ、と言ってるように思える行動だ。
芹沢さんは私と対峙するように構える。