お梅さんが居ないことを願いながら、土方さんが音を立てずに襖を開けるのを見る。
そこの布団には、2つの膨らみがあった。
…お梅さん…来世では良い人に出会って下さい…。
そう思いながら、土方さんと沖田さんがその膨らみに刀を突きたてる所を見る。

「なっ!」
「芹沢さんが居ない…!?」

そう小声で土方さんと沖田さんが驚いていると、隣の部屋から芹沢さんが2人に向かって、斬りかかる。
芹沢さんの前に行き、刀を受け止める。
ッ…刀が重いなぁ…。

「火雨っ!」
「お前等は黙っておけ!」

そう芹沢さんが言うから、土方さん達は目を見開いた。
そうか…私と殺り合いたいって事か…。
なら、そう言ってよ…。

「俺は芹沢さんが思うよりも弱いですよっ!」

いったん離れて、斬りかかる。
だが、それも受けられる。
芹沢さんに楽になって貰う為には、五段突きをした方が良いって分かってる。
分かってるけれど、何故か出来ない…。
頭で五段突きをしろって命令しているのに、体が言う事を聞いてくれない。

「ふんっ!」
「がはっ!!」

鍔迫り合いをしていると、腹を蹴られる。
お陰様で、吐血したし…目ぇ覚めたわ。
ニヤリと笑い、口元に付いた血を舐め取る。