「…ふふ、俺は男ですよ」
彼等にばれるのも時間の問題だな…。
そう思いながら、少し困りながら微笑む。
「…そう、ですよね…すみません」
「大丈夫です、女顔なのでよく間違えられますので気にしないで下さい」
そう言って、前を見る。
行燈は消えているが、人が動いている気配がする。
お梅さん…元は今の隊服を繕ってくれる菱屋の旦那の妾で借金を返して貰う為に芹沢さんの所へ通っていたが、旦那に追い出され、芹沢さんの妾になった人で私と時雨からしたら、お姉さんみたいな存在だった。
…彼女は、今日居るのかな…。
彼女が居るなら殺さなければならない。
それだけは、避けたい。
彼女には、幸せな人生を歩んで欲しい。
そう思いながら、さっき行燈が消された部屋に目をやる。
人の動く気配がない…どうやら、寝たようだ。
さてと、全ての感情を忘れなければ…。
このままだと、情に流されて人を殺せない。
「……行くぞ」
「はい」
土方さんにそう返事して、八木邸に入る。
雨の音で足音が消される。
沖田さんと土方さんと共に、芹沢さんの部屋の前に到着した。
時雨は、平山さんの部屋の前に行く。
私はもしもの時に備えて、部屋から少し離れる。


