火雨side

角屋の遊女として待機する事、数分後。
芹沢さんを連れて、彼等が来た。
ばれないかどうか不安だ…。
いつもとは違う自分を手鏡に映し出す。
…化粧って凄ぇな…。

「優、新選組のお座敷から呼ばれたぇ」
「へぇ」

姐さんにそう言われ、彼等のお座敷に上がる。
襖を開け、三つ指ついて挨拶する。

「ようおいでにならはりました、今宵旦はん達のお相手をさせて頂きます、優どす…どうぞ楽しんでおくんなまし」

ふわりと微笑んでみる。
すると、大半が顔を赤くした。
芹沢さんの隣でお酌しながら、軽く見渡すと原田さんが居なかった。

「優さん!こっちにもお酌してくれよ~!」
「へぇ」

微笑みながら藤堂さんの元へ行き、お酌をする。
沖田さんからの視線が痛い…。
沖田さんの方を向き、にこりと微笑む。
すると、少し顔を赤くして俯いた。
芹沢さんの元へ行き、お酌をする。

「優」
「へぇ、なんでっしゃろ?」
「皆の前で舞え」

………詰んだ。
舞が1番、苦手なのに…。
腹を括り、扇を開いて手に持つ。
目を閉じて、精神統一してから始める。