その後の事は言われなくても分かった。
それは…。

「おぬし等は、元々は”神”だったのだろう?…今は人として生きているから、本当の正体は分からぬが、”神”から堕ち、”鬼”として生かされているのだろう?」
「っ……はい…」

そう、あの時に私の正体を知ったから。
鬼の姿になってしまったから。

「だから、わしはおぬし等の前ではこの様な本性を出している」
「……そう、だったのですね……」
「そう暗い顔をするな、俺はこっちの方が楽だ」

そうやって私に微笑みかける顔は優しく、勇ましい顔だった。
本当の芹沢さんは皆が思っている横暴で悪漢、ではなく隊士達の悪さをも背負っている優しい人だったのだ。

「…ちと喋り過ぎたな、わしはそろそろ出る」
「!は、はい」
「…悪化させない様、気を付けろ」

そう言ってから部屋を出て行った。
…なんだか、聞かない方が良かったな…。
なんて、後悔しても遅いけど。
そろそろ夕刻だ、準備して行かなきゃ。
準備して、時雨と交代して先に角屋へ行く。
やけに明るい夕陽を見つめる。
…あの人をせめて、楽に殺してあげようと心に決めながら。