火雨side

部屋の中でぼんやりとする。
何故か?
大和屋を打ち壊し、火付けをしたあの日。
私が去ろうとした時に見せた、あの人の…芹沢さんの悲しそうな寂しそうな横顔が頭の中に残っているからだ。
何故、芹沢さんがあんな顔をしたのか分からない。

土方さん達には嫌われているけれど、私と時雨には、なんだかんだ優しくしてくれて兄みたいな存在だった。
まぁ本当の兄を持った事がないから分からないけど。
そんな事を考えてた時だった。

「火雨、時雨居るか?」
「「はい、居ます」」

そう言って、部屋から出る。
その時に見た土方さんの顔が少し強張っているように見えた。

「…話がある、付いて来い」

少しだけ、ほんの少しだけ、嫌な予感がする。
でも話の内容は予想ついている。

ー芹沢さんの……。

頭で色々考えていた時に、話をするであろう部屋に着いた。
土方さんが先に入り、その後に入る。