火雨side

「……はぁ……」
「…ねぇ、火雨」
「……何?」
「…俺らは運が良いんだか、悪ぃんだか分からねぇな」
「……あまりそういう事を話すな……はぁ……」

溜め息や間がこんなに多いのは
ある人のせいなのだ。
その人物というのが……

「おぉ、ここにいたのか火雨、時雨」
「「……せ、芹沢さん」」

酷い噂で有名な壬生浪士組の
筆頭局長、芹沢鴨さん。
芹沢さんに私達二人は振り回されて、今の状況に陥っていた。

「…次は何ですか?」
「花街に行くぞ」
「「げっ!」」
「なんだ?その『げっ! 』とは」
「いえ……なんでもこざいません」

丁寧にそう言うと連れて行かれた。
土方ぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
助けろよぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
心中で土方さんに助けを求めるが,届かないのは当たり前だ。
その頃の土方。

「……む?」

頭の天辺にあるくせ毛が
アンテナのようにピンッと立ったのだった。
花街に着くと真っ直ぐに行ったのは角屋だった。

「……あの、芹沢さん」
「む?なんだ?」