冷めないうちに早く食べて?


と急に話を変える秦山に
私は小さくいただきます、と言って
シチューを食べることに。




(いつも変なことばっか言うんだから…。)





と心の中でブツブツ言いながら
シチューを一口食べれば


私は目を大きく輝かせて
秦山の方を向く。





「何これ!すっごく美味しい!!」





そう言って秦山に笑いかける。


私はついさっきまで思っていたことも忘れて
あまりの感動に
正直に気持ちを伝える。





「本当に美味しい…!!
やばい、すごい幸せ!」





大好物で、しかも
こんな美味しいのを食べられるなんて

私今日ツイてる!

なんて1人で興奮してペラペラ喋っていると




(…あ……。)





途中で我に返って
自分の言動に引いてしまう。


何、あたしこんな興奮して…!

気持ち悪すぎ!!




絶対引かれたよな…なんて思いながら
食べ進めるてを止めて
チラッと秦山を見る。


すると






「…はははっ!そら良かったわ!」




と急に笑い出す。





「は、秦山…?」

「何やお前が急に素直になるからビックリしたわ。
…実はな、今日シチュー作ったの小林のためなんやで。」





………え…?






私は秦山の言葉に
またも体の動きが止まる。


…私の、ため…?





「ほら、お前シチュー好きやったから。
…また1年よろしくお願いしますっていう挨拶も兼ねて、な。」





喜んでくれてよかったわ


なんて
無邪気に秦山が笑うものだから

私はその姿を見ながら
黙って うるさい自分の胸の音を聞く。




-----ドクン、ドクン…






(…もう本当…何なのよ、あんた…。)





他の女子と朝から近距離で話して

ベタベタ体触らせて

楽しそうに私の隣で会話なんて弾ませちゃって…




かと思ったらこうやって

家に招いて私の大好物わざわざ作ってくれたり

あんな思わせぶりな言葉言ってきたり…




そんな笑顔 私に向けないでよ。





(勘違い、するでしょ…?)






その気がないなら

これ以上私に
嬉しいこと言わないで…