「どう、したの。八津くんちって二小のほうじゃなかったっけ」
「うん、そうなんだけど……さ」
歯切れ悪く言いながら、それでもなぜか詠子のほうへ距離を詰めてくる八津くんに無邪気に胸を高鳴らせる。
これは、どういう展開なんだろう。
「ちょっと、聞きたいことがあってさ」
「わたしに?」
「うん。……あのさ、俺、国本になにかしたかな?」
気まずそうに問いかける八津くんに、逆に詠子のほうが首を傾げそうになる。
なにか? なにかってなんだ。
意味を解しかねて黙り込む詠子を見かねてか、八津くんは、
「こないだ、俺とマイコが国本に声をかけて、びっくりしたおまえが自転車を倒したとき。国本、すごい俺のこと避けてただろ。今日もそうだった。クラスでもそう、さっきだって――」
言い募るものの、しかし詠子の耳にはその半分もまともに届いてはいなかった。
マイコ。
そうか、呼び捨てにするような間柄なんだ。
この前、そのマイコさんも八津くんのことをショウって呼び流しにしてたもんね……。

