佐希子は両手を腰に当てて仁王立ちになると、
「なにが起きてもお姉さんが味方よ。きっと、今より悪い状況にはならないはずだから、思い切って声をかけてみましょう。……わたしも、近々気張らないといけないことがあるから。お互い、いい結果になるよう、祈ってるわ」
自らにも言い聞かせるように佐希子は言うと、詠子ちゃんの手を握って頷いた。
「……そう、ですよね。今より悪いことなんて、ないんだから」
詠子ちゃんもまた暗示をかけるように呟くと、きつく唇を引き結んだ。
佐希子さんに送られて、詠子はようやく慣れてきた枡屋からの帰路についた。
だが間の悪いことに、駅前通りの交差点に、うちの学校の制服を来た生徒が固まって信号待ちをしているのが見えた。
(野球部)
よりによって、というシチュエーションに泣きそうになったが、先ほどの佐希子さんとのやり取りを思い出してぐっと堪える。
中には八津くんの姿もあった。中学はちがうが、帰る方角が一緒なのだ。

