「なんですかこのソース、めっちゃ美味しい。それにわたしが普段食べてるメンチカツよりものすごいジューシーなんですけど」
「ふふ、そう? 揚げ立てだしね」
「すごい湯気ですたしかに。熱いけど、でもとってもしあわせ」
詠子ちゃんは口から盛大に白い息を吐きながらメンチサンドを絶賛した。
どうやら手ごたえは十分みたいだ。ゴンさんにも気に入ってもらえたら、メンチカツの日はサンドイッチにして持ち帰れるようにしよう。
残りのふた欠けをそれぞれラップに包むと、近くの新聞紙でそれらを覆い、詠子ちゃんに持たせた。
「いいんですか? 今日はわたしの方がお礼を持ってきたのに」
「お返しにもならない程度のものよ。帰りに食べるなり、お夜食にするなりしてください。でもできるだけ今日のうちに召し上がってね」
「はい。……あの、また来てもいいですか? ていうのは、その、お客さんとして。お店の方でご飯を食べるのはちょっとまだ敷居が高いから、こっちのほうに」
「ええもちろん。電気がついてる日は大抵いるからいくらでも声をかけて。ひとりでも友だちとでも大歓迎だけど、よければご家族の方も一緒にね」
「はい」
「自転車?」
「あ、いや、徒歩です。自転車、今修理に出してて」
「あらまあ。パンク?」
「――もあるし、もろもろガタが来てたみたいで……」

