「感傷に浸ってんのか?」
「感傷? 誰が?」
吉川さんを見送った後、居間でぼんやりと食べ終わった後のぜんざいの椀を見つめていた佐希子のもとへ、今度は自らの意思でゴンさんがやってきた。
首を傾げる佐希子の隣に、ゴンさんは、野暮なことを聞いたな、と言って腰を下ろした。
「つーことはだ、さっきの流れからして、これから週三日、女の板前がうちに来るんだな」
「そうなりますね。面倒を見てあげてください」
「そういうのは護の得意分野だろう」
「吉川さんの目に留まった人ですから、腕は確かでしょう。心配はしていません。それに、詠子ちゃんがいるときもうちはうまく機能できましたしね。いろんなことがスピーディに運んでたのも事実だし」
「佐希、おまえまさかこうなることを予期して、あの嬢ちゃんをうちに呼んだのか?」
佐希子は曖昧に笑んで見せると、おもむろに脚を崩して、ゴンさん、と隣の、強面に似合わずお人よしな大将を呼んだ。
「吉川さんがね、わたしに聞いたの」
「なんて」
「おばあちゃんはあなたのことを恨んでない、応援してくれてると思うって言ったあと、おまえは? って。……わたしは、吉川さんのことをどう思っているのかしら」
「おまえはなんて答えたんだ?」
「笑って誤魔化した」

