(三角関係だったらおもしろいわぁ。――あ、三と言えば、三色丼は見た目が華やかでいいわね……)
でも男の子に桜でんぶは余計かしら。肉と卵とほうれん草がいいわね。
さいごは結局、料理にすべての意識が持っていかれる佐希子は、そのとき、外から隠れて食堂を覗き見ている女の子がいることに気づけなかった。
合宿最終日を明日に控えた夜。
学校から戻った佐希子は帰り支度をすませた詠子ちゃんを自宅に引き留めると、ほっくり炊いたあずきかぼちゃをお土産に持たせようと袋を探していた。
「いいんですか? なんか、わがまま言っちゃったみたいで悪いです……」
「いいのいいの。なんかずいぶん余っちゃってるし、こういうのとお酒は合わないって毛嫌いするひとが今日は多いみたいだから。おうちですこしあたため直して食べて。あ、そうそう、今日までのお給金は明日渡すから安心してくださいね。それと、急なことに巻き込んでしまってすみませんでしたって、ご両親にくれぐれもよろしく伝えておいて。――ああ、あった。これがいいわね」
無地の袋をようやく見つけて、佐希子はパック詰めしたかぼちゃを詠子ちゃんに渡す。
「いえ、うちは別に。最初は、いくらちがうって言っても、居酒屋なんか、って渋い顔をされることもありましたけど、ネットの口コミとか見てすこし印象が変わったみたいです。わたしもいろいろ美味しい思いもさせてもらったし、根岸さん面白いし、楽しかったです」
「そう? それならよかった。急なお願いだったけど、明日もほんとうに大丈夫?」
「はい。学校に九時ですよね、余裕です」

