おいしい時間 しあわせのカタチ



「――いやぁ、助かりました。最初メールもらったときはどんなやつが来るんだろうってどきどきしてましたけど、あいつ、なかなか器用だし、手際もいいし、おどおどしてるけど見た目ほど物怖じしないし。学校で料理してるところでも見たんですか?」

「佐希子の勘」

「へええ。――あ、この煮つけ、お願いします」

「はいはい」

「ああ佐希子よかった、戻ってたか。おまえのクリームソース、まだ残ってるか?」

「どうかしら。わたしも戻ってきたばかりなので。見てきますね」


 ついでにコーチから受け取ったお金も金庫にしまわないと、と思いながら玄関の方に回って鍵を開けようとしたとき、佐希子は、郵便ポストからはみ出た一通の封筒に目を留めた。


(なにこれ、切手も消印もないし、あて先もないって……)


 佐希子様、と走り書きで書かれただけの封筒を不審に思いながら裏返し、そこに記された名前を見た瞬間、佐希子は目を見開いた。