(わたしも負けずに、栄養満点ボリューム満点のお弁当を考えよう)
みんなのために。
そうあらためて心に刻むと、佐希子は丹後さんの残していった車に乗り込んだ。
「ただいまぁ、あら、詠子ちゃん、ありがとう。首尾よくいったかしら?」
「あ、こ、こんばんは。はい、仕出しのお弁当ですよね。見本どおりに詰めました。間に合った? と思います」
佐希子の割烹着を着た詠子ちゃんが答える。
鍋の様子を見る根岸くんの後ろで、せっせと独活の皮を剥いていた。
予想していた以上に、彼女は母親からよく仕込まれているようだ。
「町内会の集まりがあるからって注文を受けたのが昨日の朝だったもんだから人手が足りなくて。助かりました」
「すごく美味しそうなお弁当でした。誘惑に負けそうだったぁ」
「うふふ、そう? ありがとう。今日はもう帰ってくれていいわよ。急に頼んじゃってごめんなさいね」
「いえそんな、全然」
「明日からも同じくらいの時間に来てもらえるかしら? 指示はそのつど出すから」
「はい」

