店内は発色のよいトルコ石のような水色を基調とした壁に、海や建物などのヨーロッパの写真が並ぶ。
パリッとした真っ白いクロスが丸テーブルに掛かり、何となく、船上レストランを彷彿させた。
BGMはカンツォーネだ。
「あ、いきなりでごめん。私の恋愛とか興味ないよねー。まぁ、でもその時の私は、同じクラスの男の子が好きで、春休みに男女のグループで遊園地に出掛けることになったんだよね。ありがちだけど」
「いいなぁ、みんなで出掛けるとか、そういうの」
「うん。でもね、結局、私の好きだった男の子は、一緒に遊園地に行った別の女の子とくっついちゃったんだよね。悲しい失恋エピソードになっちゃうんだけど。その女の子がね、うちのお姉ちゃんみたいな女の子らしいカワイイ子で、やっぱり男の子ってこういう女の子が好きなんだって、ショック受けて、それから、女の子らしい服に憧れが……」
「お姉ちゃんの服とかこっそり着てみたりもしたんだけど、やっぱり似合わないんだよねー。鏡に映る自分がキモくて」そう言ってつばさんは自嘲気味に笑う。
「私、お姉ちゃんたちと全然似てなくて……、あ、この際だから、美雨ちゃんに告白しちゃうけど、うち、親同士が再婚でさ、私は父親の連れ子だったんだよね。だから全然似てないの当然なんだけどね。私はその時、赤ん坊だったから、当時のことは全然覚えてなくて、当然のように、血の繋がりのない母親を本当のお母さんだって思ってた」

