売り子の鏡のような洗練された満面の笑みの前に、つばさんは腰が引けてしまっていた。
「え……あ……はい……すみません、もっと他も見たいんで……」としどろもどろに答え、店員さんが、他のお客さんの所へ向かったのを確認すると、そそくさとその空間を後にした。
「さっきのブランドで服を買いたかったんじゃないんですか?」
後ろを振り返りながら訊ねると、「いいの、私にはハードル高すぎたっ」と歩調を上げる。
「洋服買う前に、ちょっと語っていいかな?」
上りエスカレーターの前で、ようやく振り返ったつばさんの目は真剣だった。
大きく頷く。
私たちは、先に早めのランチを取るために、最上階のレストランエリアに向かった。
お互いバイトをしているので、今日は奮発してとオシャレなイタリアンの店に入った。
ランチメニューを頼み、料理が運ばれて来るのを待つ間、つばさんは中学時代の話をしてくれた。
「丁度、中一の終わりくらいかな。好きな人が出来たんだ」
「いきなり恋バナ!いいですね、語りモードですね」
まだお客さんが閑散とした店内で、私たちは向かい合って座っている。

