ゆるカジなデザインが売りの女の子向けブランドショップの前で、つばさんは立ち止まった。
「見てもいい?」の問いに笑顔で頷く。
「中学校入ったくらいかなー。今まで私服だったのが、いきなり制服を着なくちゃいけなくなるじゃん?今までスカートなんて履いたことなくて、股下がスカスカする感じが、ちょっと苦手で、下にジャージのズボンを履いたりしちゃってたんだよね。これなんかどうかな?」
そういってつばさんが手に取ったのは、襟元に凝ったレースの刺繍がされたブラウスだ。
襟下からリボンを通して、結べるようになっている。
「うわー、ダメだ。私が着るとキモイ。ないわー」
ブラウスを自分に当てながら、棚の隣に置かれている姿見鏡に自分を写したつばさんは、思い切り自分を否定して、ブラウスを畳み直して、元の位置に戻した。
他の棚を物色する。
「いらっしゃいませ~」とここぞとばかりに、頭の後ろの方から出ているような、甲高い販売員のお姉さんの声が響いた。
赤いタータンェックの膝下のスカートを手に取ったつばさんに、「それ、私も色違いを持ってるんです。カワイイですよね~」と人懐っこく話しかけてくる。

