そう言って美雨は、大きな瞳で俺を覗き込む。そっと、小指を差し出した。
「指切りげんまんって、ガキかよっ」
「中二病だよ。悪い?」
小指を重ねる代わりに、パンと軽く美雨の手の平を叩いた。
「解ったよ」と呟き、星夜がタイミング良く出て来た所で、「とっとと帰るぞ」と踵を返した。
「えっ、星夜くんってお兄さんと二人暮らしなんだー。昔の真央と玲央さんみたいだね?」
「僕の兄さんはちょっと不良少年な所があって、週末はほとんど家にいないんだ。真央のお兄さんとは大違いだよ。家事も基本、僕がやってるし。きっと今頃、年齢誤魔化して、クラブとかに行ってるんだよ。友達が多くて、顔が広いんだ」
「へぇ、児玉家とは逆だね」
おい、俺はクラブになんか行かねぇよ。友達も多くねぇし。
無言でアイスのカップを突いていると、星夜がアハハと笑い声を上げた。
「離島って、やっぱり島を離れる船出の時は、テープの端と端をお互いに持って、見送るの?」
「美雨ちゃん、その発想は映画とかの観すぎじゃないかな?そんなことはないよ。島を出る時は、母さんも一緒にこっちに一旦、様子見に来てくれたし」

