フテキな片想い



「そっか」と美雨は頷いた。


空になったカップを片付けると、シンクの前に立っていた美雨は振り向き様に、「じゃーんけん、ぽいっ!」と言いながら片手を伸ばした。


反射的に開いたままの右手を出し、出した後でしまった!と思った。


美雨と俺の中で、恒例になりつつある「アイスジャンケン」だ。


ルールは簡単、ジャンケンで負けた方が、近くのコンビニにアイスを買いに行くというパシリゲームだ。


俺の部屋でテレビを見てる時、リビングでお互いのテスト勉強を見合っている時、美雨がアイスを食べたいと思ったタイミングで、唐突に勝負は始まる。


いつもだったら、俺は必ずチョキを出して負ける。


美雨は、九割の確率で最初にグーを出すからだ。


勝負だからって、女に奢って貰うのは、何か恥ずい。


「あ~、負けた~。財布取ってくる」


美雨はグーを握り締めながら、リビングを後にする。


不覚。唐突すぎて、咄嗟にパーを出してしまった。


しかも、今日って、星夜がコンビニバイトのシフトに入ってる日じゃなかったっけ?