フテキな片想い



「そっちこそ。試してみる?」


にやりと含み笑いで答える。さて、今夜は長い夜になりそうだ。


「じゃあ、僕は、お風呂に入ってくるから。晴美さんから連絡あったら教えてね」


テーブルの上にミルクティーを置くと、一通りの家事を終えたお兄は、自室へ消えて行った。


ミルクを温めながら、ゆっくりと茶葉を浸したお兄特製のミルクティーは、程よい甘さで美味い。


アールグレイの仄かな香り。


無駄に女子力上げてどうするんだよとツッコミつつも、ミルクティーの暖かさがじんわりと体に沁み渡る。


「そういえばね、この間、幡谷先輩とカラオケ行ったんだ」


マグカップを両手で包みながら、ふぅふぅと息を吹きかけていた美雨が、そう切り出した。


「カラオケ?お前らいつの間に、そんなに仲良くなったんだ?」


「それがね、幡谷先輩ってね、実は芽衣子の憧れの先輩だったの。球技大会の日、芽衣子が幡谷先輩と写真を撮って貰ってて、その時、初めてお互いにあの時の!ってなって、今度遊ぼうって連絡先を交換したの」


幡谷さんって、人見知りだと思ってたのに、意外にフレンドリー?


ふと思ったら、自分は幡谷さんの連絡先を知らない。美雨より俺の方が長い付き合いになるのに。