「美雨ちゃんのお母さんって、児玉のお兄さんと再婚するんだって?」
「えっと、それは___」
真央は、幡谷先輩にうちの複雑な家庭事情を話していないようだった。
前に先輩に偶然会った時も、「余計なことは言うなよ」と眼力のみで抑圧された。
多分、興味本位で、自分のことを根掘り葉掘り訊かれるのを、真央は好きじゃない。
それはきっと、真央が育った環境にもよるのだろう。
施設出身の真央は、時折、好奇の目で見られ、そのせいで随分悩んだみたいだと玲央さんに聞いたことがあった。
思わず言葉に詰まってしまう。芽衣子が悪気があって先輩に言ったのではない事は解ってる。
彼女は憧れの先輩に訊かれたことを、正直に答えただけだ。
きっと幡谷先輩は、私たちの家族関係を知っても、からかうような人ではない。
私は心の中で決心し、大きく頷いた。
「実は、そうなんです。黙ってて、すみません。ママたちはまだ入籍していないし、一緒に住んではいるんですけれど、私たちもあまり周りの人に説明するの、少し恥ずかしいというか……真央の兄さんとママが一回り以上も離れてるっていうのもあって……」
しどろもどろになりながら、説明する。
幡谷先輩は腕を組んだまま、じっと私の話に耳を傾けている。

