「お疲れ様」
その影は私を待ち構えてたのか、急に横から飛び出して来た。
「きゃっ、何?誰?」
顔を確認すると、クマさんテーブルの彼だった。コーヒーとドーナッツのセットを頼んで、一時間位、お店でまったりとして帰って行ったと思ったのに、なぜ今ここにいるの?
「ずっと、待ってたんですか?」
思わず訊いてしまった。だとしたら怖い。ストーカー気質があるかもしれない。
「いや、俺んち、この通りの一本奥なんだ。閉店時間見計らって、そろそろ美雨ちゃんが帰る頃かなーと思って。会えてラッキー」
こっちはアンラッキーだよと、溜息が出そうになった。
「ちょっとの時間でいいからさ、どっかでお茶しない?」
「ごめんなさい、バイトの後は真っ直ぐ帰って来なさいって、ママに言われてるから。(玲央さんが)夕ご飯も作って待っててくれてるし」
目の前に立ちはだかる彼を、押し退けて、通りを渡ろうとする。
「そっか、親のいう事をきちんと聞くいい子なんだね、美雨ちゃんは。家って近いの?俺、送ってくよ」

