今、一瞬、何かサイテーな事を言ったのを、言い直さなかった?
何、この人?遊び人?
思わず眉間に皺が寄る。
カノジョじゃなくても、友達が突然怒って帰ったら、追いかけるだろう、普通は。
「それより、君、よく見たらカワイイね」
お釣りを返した手を握って、微笑まれた。なぜか、鳥肌が立った。
それから、遠藤さんに私のシフトを訊いたのか、私が出勤日になると、ふらりと店に現れる。
遠藤さんは、あの時あの場にいなかったから、彼が友達にコーラを掛けられた事を知らない。
だから、私目当ての熱心なお客さんがいる事を、青春ドラマの始まりのように、微笑ましい気持ちで見守っているのだ。
気に入られても、困る。私は、彼の怪しい友達の1人に加わる気は毛頭ない。
「お疲れ様でした」
キッチンの作業台で、仕入れのチェックをしている遠藤さんに声を掛けて、私は店を後にする。
来週は中間テスト期間で、再来週は球技大会がある。
暫く、バイトには来れないなと、扉を閉めた所で、ふぅと息を吐いた。

