そのまま店を出る女の人に、「あ……ありがとうございました」と声を掛ける。
女の人は私を無視したまま、扉を乱暴に閉めて、通りを渡って行った。
高いヒールのサンダルを履いていた。
コツコツコツと響く彼女の足音が、そのまま苛立ちを表しているようだった。
周りにいたお客さんも含め、その場は暫し凍りついたようになった。
「あの、大丈夫ですか?よかったら、これ、使って下さい」
そう言って、タオルを差し出した。
その日も確か、彼はクマさんテーブルに座っていた。
「ありがとう。それにしてもさ、コーラぶっ掛けるとかある?普通、そっちのグラスの水じゃね?あ、痛っ、炭酸が目に沁みる」
そう言いながら、タオルを受け取り、コーラを浴びた顔をタオルに埋めた。
全くもう、バイト入って日が浅いのに、いきなりこんな男女の修羅場を見せられるなんて___飲んでいたコーラを掛けられるなんて、どんだけ相手を怒らせたんだか、こっちも困るよ。
床にも飛び散ってるし、拭かないとベタベタになっちゃうし。

