駅前の商店街を進んで行くと、路地の奥に、タコの形のすべり台がある小さな公園が見えて来る。
そこを右曲がれば、住宅街に入り込み、やがて私の住む家が見えてくる。
いつもとは逆方向の帰り道。真央はいつもこの道を通っている。
祝日の夕方。公園には人気はなかった。段々と日が短くなって来たせいもあるだろう。
商店街が賑わっていたから、そろそろみんな家に帰る時間帯なのかもしれなかった。
真央のカバンを右肩に掛けている。
私のバッグは真央が誕生日のプレゼントに買ってくれたショルダーバッグだ。
歩く度に、腰の辺りで跳ねている。
薄暗い夕闇の差し掛かる公園。
タコのすべり台の下は洞窟になっていて、高校生の私でも、雨宿りで出来る位の広さがあった。
穴から中を覗き込むと、膝を抱えて蹲るよく知る制服姿の男の子がいた。真央だ。
「久しぶりだな、ここに来るの」
洞窟の中に私の声がこだまする。声に驚いたのか、真央はびくんと肩を震わせた。
腰を屈めて、洞窟の中に入り込む。
真央の隣に腰を下ろすと、ひんやりとした壁に背を預けて、膝を抱えた。
「こんな所に座り込んで、制服、汚れちゃうよ、真央」

