あぁ、何で今まで気付かなかったんだろう?これが好きっていう、恋するって気持ちだったんだ。
「最後のお願いに、キスしてくれる?そしたら、美雨ちゃんをすっぱり忘れるから」
「嫌です」
「……瞬殺」
「ごめんなさい。でも、握手だったら大歓迎です」
そっと手を差し出すと、蛍さんは両手で私の右手を包み込んだ。
「今までしたことなかったから、知らなかった。失恋って悲しいね」
「蛍さんに振られて悲しい思いをした女性も、たくさんいると思います。その人たちの痛みが解ったなら、きっと人間的に成長出来るんじゃないでしょうか?振った分際で、偉そうなこと言って、すみません」
蛍さんは大きく首を振って、「偉そうじゃないよ、安心して」と否定してくれた。
「今はまだ美雨ちゃんが好きだけど、いつかこの想いに踏ん切りついたら、また友達として会ってくれる?」
「もちろんです」
そして私たちは、握手をしたまま、微笑み合った。

