体育館前に伸びた渡り廊下と右に曲がり、その奥を覗き込むと、制服姿の生徒がたむろっているのが見えた。
扉が開放されていて、そこから舞台裏に繋がっているようだ。
蛍さんはコンクリートの階段の上に座り込み、ぼんやりと空を眺めていた。
「蛍さん」
蛍さんの前に立つと、他の生徒は気を遣って、舞台裏へと入って行き、扉を閉めてくれ、二人きりにしてくれた。
そこまでしてくれなくても良かったんだけどなと、後ろめたい気分になりつつも、扉越しにお礼を言って、蛍さんの隣に腰を下ろした。
ふぅと息を吐いた。さっき程、緊張はしていない。
今なら、自分の気持ちが話せると思った。
「私、蛍さんって、最低っ!って思ってました」
「えっ?」と顔を上げた蛍さんは、今までない位に情けない顔をしていた。
「初めて会った時です。相手の女性があんなに怒ってるのに、追いかけないし、セフレって割り切ってるし、コーラをかけられてもヘラヘラ笑ってて、この人何なの?って思ってました」
「失恋の傷に、ぐいぐい塩を練り込むようなことするね、美雨ちゃん」
蛍さんは両手で顔を覆うと、苦笑した。
「でも、LINEを交換して、連絡を取るようになってからは、蛍さんって悪い人じゃないかなぁって思えて来ました。マメだし、ポディシブだし。何より、楽しいし。たまにちょっとナルシストだなぁって思うのもありましたけど、私、蛍さんと友達になれて嬉しかったんです」

